病魔という悪の物語―チフスのメアリー
病魔という悪の物語―チフスのメアリー 金森 修 筑摩書房 2006.3
チフスのメアリーは、「本人は到って健康ではあるが腸チフス保菌者で、職業が料理人だったために複数の患者をだしてしまい、後半生を隔離されて終えた女性。公衆衛生学に寄与」という程度のアウトラインをしってるのみでした。伝染病のことで調べたときにちょっと知ったのだと思います。
意図的に毒を撒き散らす悪女
と、つい最近でも小説に描かれているメアリーですが、時代の偏見によって大きく人生を狂わされてしまった被害者でした。移民で、住み込みの料理婦の独身女性と社会的弱者であり、力になってくれる弁護士などが偶然ですが早いうちにいなくなってしまったことなど悪い偶然が重なり、当時発見された同様の健常保菌者に比べてはるかに強い拘束を受け一生を終えています。さらに死後は実像から離れたイメージでもって語られています。
この本は、チフスのメアリー事件とその後を追いながら、当時の公衆衛生学や病気に対する社会のあり方にはじまり、イエロージャーナリズムが始まったマスコミの報道(また一般人の偏見などに判りやすく、問題提起をしながら解説しています。中学生向けだけに判りやすいし、反面ちょっと教育的カラーは強いかも?でも、社会に興味をもちはじめ知識吸収したがった中高生にはオススメ・・・いえ、もちろんワタクシのような知りたがりのオトナにも。
腸チフスという病気をエイズ、SARS、新型インフルエンザにおきかえれば、まったく現在でも変わらない状況・・・人類進歩してるのかな?と疑問も持ってしまう一冊。
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